人生のヒント
セミナーに行った。また気持ちがたかぶるのだろう。そして冷めるのだろう。
そんな気持ちは拭えなかった。
午後五時。学校の庭でキャッチボール。
キラキラした音楽で賑わう男女の横で、薄茶色に汚れたボールが二人の男の間を右往左往。
それはまるで僕らの心境を表しているようだった。
帰り道、空腹に負けた僕らはさよならを言う。
ラーメン屋へと向かう彼の背中に別れを告げたあと、はっきりと匂いがした。
「青春」の匂いが。
いつぶりだろうか。
中学時代に自転車でサッカーから帰ったあの日、高校の時にみんなで海に行ったあの日。
それらと全く同じ匂いがした。
別れの惜しさと、またいつでも会えると言う気持ち、そして、これが永遠に続きはしないことをかすかに悟る思い。
これがごちゃ混ぜになった気分。
今年初めて半ズボンを履いた。
春が僕に残したお土産は、人生へのヒントだったのかもしれない。
「青春」への憧れ。
これを忘れるな。
そう言うことだったのだろう。